光陽化学工業

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研究開発

「技術と環境の調和」

「技術と環境の調和」をコンセプトに、界面科学を活かした配合技術を強みとし、研究開発を推進しています。

有機溶剤を多用する工業分野において、水を活用することは、使用する有機溶剤を削減できるので、環境と安全への配慮の観点で有用です。

当社の研究開発は、界面活性剤や高分子化学薬剤に新たな素材を加え、水を改質し、有機溶剤の性能を補完する水―有機混合薬剤や、新たな機能を付与した水系薬剤やエマルション、ペースト状薬剤に至るまで、幅広い製品設計に対応し、高機能洗浄剤や多機能水などの工業用薬剤を展開しています。

プリンティング事業における、湿し水や消防法非該当のローラー洗浄剤は当社の代表製品です。なかでも、湿し水は、オフセット(平版)印刷における版面上での濡れ性向上を目的とした工業用薬剤で、親油性の画線部と親水性の非画線部を区別するために、低い表面張力と適度なインキ乳化性、印刷版の整面性を有する多機能水の代表です。

私達は、科学の目で物事の「本質」を追求し、新たな価値を創り続けることで、社会貢献していきます。

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技術レポート

Vol.1 湿し水について

1.エッチ液に関する基礎知識

湿し水の組成

※添加液:一般的にはアルコール類
一部グリコールエーテル類あり

湿し水原水
  • 水道水
  • 工業用水
    河川水、地下水等から簡易処理された水
    (殺菌処理等なし)
  • 純水
    イオン交換水、RO水
湿し水原水について①
pHとは
pHは一般的に数値が1から14( 10-¹~10-¹⁴mol/l)であり、pH値が7より小さいとき酸性を示し、7より大きいときアルカリ性を示します。
飲料水(水道水)水質基準では、pH 5.8~8.6(弱酸~弱アルカリ)と定められています。
導電率(電気伝導率)とは
水の電気伝導率はその水の電気の通し易さを示すものです。
水が電気を通すのは水中の電解質によるものであり、水中に電解質の量が多ければ多いほど電流が多く流れます。
湿し水原水について②
水の硬度とは
水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウム(CaCO3)の量に換算して水1リットル中のmg数で表したもので、カルシウム硬度とマグネシウム硬度の合計量を全硬度(又は総硬度)といいます。
残留塩素とは
消毒用塩素化合物(次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等)のうち、水道水中に残っている塩素のことを残留塩素と言います。
エッチ液・添加液の種類
エッチ液 アルコール系添加液
溶剤Ⅰ系
(溶剤40%未満)
エタノール
溶剤Ⅱ系
(溶剤40%以上)
IPA
nonVOC NPA
ガム系 TBA
エッチ液成分と効能①
成分 含有量 原料名
溶剤 20~60% エチレングリコールエーテル
プロピレングリコールエーテル
界面活性剤 1~5% ノニオン系界面活性剤
アニオン系界面活性剤
水溶性樹脂 1~5% アラビアガム、CMC、セルロース系
(溶剤可溶タイプ)
酸類 1~5% リン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸
塩類 1~5% リン酸塩、クエン酸塩、硝酸塩
その他 微量 消泡剤、防腐剤、防錆剤
カルシウムキレート剤他
エッチ液成分と効能②
成分 効能
溶剤 ・動的表面張力を下げて版面を瞬時に濡らす
・粘度を上げて、ローラー間を通過しやすくする
界面活性剤 ・表面張力を下げて版面を瞬時に濡らす
・軽度の油汚れの除去
水溶性樹脂 ・非画線部に吸着し親水性を維持する
・エッチ液の粘度調整
酸類 ・pHを弱酸性にし、インキ汚れを抑制する
塩類 ・pHを変動させる物質が混入しても、緩衝剤として働きpH変化を少なくする
湿し水としての役割
  • 動的表面張力の低下
  • 非画線部の親水性を維持
  • 乳化力(水分散力)の安定化
  • その他
    (消泡、防錆、防腐、グレーズ抑制)
非画線部の親水性を維持
インキ油や水アカ汚れ
エッチ液成分の界面活性剤+無機塩の配合で洗浄効果および付着防止効果を最大限に発揮する必要があります。
アルミ表面の酸化による感脂化汚れ
除去効果が高い酸により表面の腐食皮膜の除去しつつ、酸化抑制剤にて過剰の腐食を制限しています。
また、グレージングの原因になるカルシウム成分と結合し、不溶化するリン酸に替わる酸が検討されています。
乳化力(水分散力)の安定化

乳化力(水分散力)の安定化
パターン① パターン② パターン③
版面水量少 シャドウ部が絡む 全面汚れ 汚れにくい
版面水量多 インキ着肉、転移不良 多少安定 安定性大
水幅
(給湿液効率を
無視した場合)
乳化状態

インキ適性について

2.湿し水の管理

湿し水の管理と印刷品質
  • エッチ液および添加液の濃度管理が最も重要
  • 湿し水の冷却温度
  • pH、導電率は湿し水交換の目安に
  • 原水管理(水道水、純水)
エッチ液と添加液の濃度管理
ノンアルコール印刷 アルコール併用印刷
含有量測定 糖度計による数値換算 エッチ液メーカーに分析依頼
規定量未混入
によるトラブル
糖添加量少
・地汚れ

添加量多
・過乳化
・乾燥不良
・ブロッキング
アルコール少
・地汚れ

アルコール多
・素抜け
・ドライダウンによるインキ濃度低下
湿し水の冷却温度

湿し水循環タンクの冷却調整を施し、水舟で約10℃を維持することを推奨

1℃の温度差で水上がり(汲み上げ性)が変化します。

温度(℃) 動粘度cSt(mm2/S)
0 1.792
5 1.520
10 1.307
15 1.139
20 1.004
25 0.893

15℃以上になると水上がりが悪化し印刷品質(光沢感など)が低下します。
但し、水温の下げ過ぎによる結露発生に注意します。

(水温10℃での湿し水粘度)
IPA5%水溶液:1.7~1.8cSt
エッチ液2%水溶液:1.4~1.5cSt

3.機材メンテナンスの重要性

機材メンテナンスの重要性
  • 適性な洗浄方法を見つけ出し、継続することで、インキローラーが本来持つ水幅を維持・確保する。
  • 水棒ローラーのゴム硬度の定期的な確認と保水処理により親水性を維持・確保する。
  • ブランケットの洗浄残渣が印刷汚れの要因になるケースもあり洗浄確認が必要。
グレーズ(glaze)とは

乾いたインキ、用紙のコーティング材、アラビアゴム、湿し水の薬品、そしてゴミなどの非常に細かい物質が積み重なってローラーの孔が詰まった状態。またはその膜。

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